景気が底を打ち、上向きに転じつつあることを伝えるニュースも若干聞こえてくるようになりましたが、個人消費は冷え切って、雇用状況も好転していません。
現実にはまだまだ厳しい状況が続いている業界が多く、今後の見通しも決して楽観はできないように感じています。
温浴業界においても、一部の繁盛店や新築・リニューアル直後のケースを除いた多くの企業が苦戦しているようです。
業績検討を行うと、「予算未達」「昨対割れ」といった状況が当たり前のようになりつつあります。
「予算未達」「昨対割れ」はもちろん歓迎すべきことではないのですが、売上や粗利が目標に届かないこと自体をそこまで深刻に捉える必要はないのではないか、と思うことがあります。
売上や粗利がどのような結果になるかには、様々な要因が作用しています。そこには景気や政策、競合店の動向などの、自分たちではどうしようもない外部要因の影響もかなりのウェイトを占めていると思うのです。
勿論そういった風向きを敏感に察知して、臨機応変に対処する力も重要なのですが、それとて外部環境変化に対する受動的な反応であり、その結果がどのようになっていくかは未知数と言わざるを得ません。
未知数な要素が含まれる事柄に対して、売上計画や粗利予算というのは「期待する目標」ではあっても、約束とかコミットメントという言葉に縛られるのは変なのではないか?と思っているのは私だけでしょうか。
社会人になったばかりの頃、「できない約束はしてはいけない。」と教わりました。
成果主義・実績主義が過剰なストレスを生んでしまうという現実は、本来約束できない(自分の責任において完全にコントロールすることのできない)結果に対して、約束をしたかのような錯覚を起こしているためではないかとも思うのです。
外部要因の影響を受けつつも、期待通りあるいは期待以上の結果が出た時に、喜んだり祝ったりご褒美を出したりするのは、楽しいし良いことだと思います。それを否定するつもりはありません。
しかし、期待以下の結果であったからと言って、悲観したり暗くなることはないのです。
ではなぜ目標を立てたり、予算や計画をつくるのかというと、
- 目標を達成するためにはどのような準備や仕掛け、実行体制が必要かを考えて、先行して手を打つ
- 具体的数値目標を掲げることでやる気、頑張りを引き出す
といった効果のためだと思います。
結果は仮説検証ゲームの勝ち負けのようなものでしかありません。
勝って奢らず負けて挫けず、です。
勝ち負けよりも、もっと重要なことがあると思います。
それは自分自身の成長です。結果はその時の風向きに左右されるかも知れませんが、自分の仕事は風向きに関係なく成長させていくことができるのです。
業務の習熟、仕事の品質、知識や情報の蓄積、顧客との信頼関係…これらは、真剣に取り組めば必ずプラスになります。やればやっただけ積み重なっていきます。それは長期的には必ず結果(業績)にも反映されるでしょう。
現場が売上や粗利の予算達成に必死になるあまり、目先の風向きを追いかけるばかりで、よく見ると仕事内容はちっとも成長していない、ということはないでしょうか。
よく「飲食部門の売上が伸びなくて…」というご相談をいただくことがあるのですが、売上の大小を語る以前に、FLコスト(食材原価+人件費)が売上よりも大きいじゃないですか!といったケースがあります。
売上や客数の変動に応じてコストを管理し調整するという基本的な力が備わっていなければ、仮に安売りや長時間労働で目先の数字を増やすことはできても、長期的な発展は決して望めません。いずれ現場が疲弊し、人材流出によってさらに戦力がダウンするという負のスパイラルに陥り、そこから脱出するのは容易ではなくなります。
売上や粗利予算の達成度に一喜一憂するよりも、人時生産性を真剣に追求した方がよほどプラスになるのです。
なんとか現状を打破しようとして、かえって長時間労働になりがちですが、人時生産性を考えながら、適正な時間で仕事をきっちり片付ける。それで仕事が少なくてヒマができるなら、早く帰って充電するもよし、人材教育や新商品開発、新規事業開発に取り組むこともできるでしょう。
そういったことを目標として掲げ、管理し、評価するのも経営者の重要な仕事だと思います。それをせずに相も変わらず売上アップ!予算必達!と結果ばかりを追いかけるのは、経営者の怠慢であろう、と自分を戒める今日この頃です。
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