回転寿司とスーパー銭湯
回転寿司といえば、ハレの日のご馳走だった寿司を安くて手軽な大衆の日常的な外食のひとつに変えた立役者ですが、今この業態の動きにちょっと注目しています。
回転寿司は元々省力化、機械化を徹底することで、安くて手軽に寿司を食べられることがウリだったわけですが、業界の成長とともにデカネタ化やファミレス化などの多様化や、職人が注文を受けて握るなどの高級化の流れがおきました。高級志向の店はもはやベルトを回転させている意味がないといった指摘もありますが、とにかく寿司を気軽に食べられる店として、今日もたくさんの人が寿司をつまんでいることでしょう。
この流れはスーパー銭湯業態にもかなり共通する部分があります。
スーパー銭湯は銭湯のアップグレード版という見方もありますが、一方で健康ランドやサウナの廉価版という位置づけもできるわけで、そういう意味では回転寿司と一緒です。
標準化や省力化、機械化などによってコストを抑えながら、大衆の入浴にリラクゼーションや楽しさといった価値を持ち込むことに成功したわけです。
そして業界の成長とともに競合が激化し、差別化の手段として登場したのがハイグレード型のスーパー銭湯です。私もいくつかの施設開発に携わり、競合の厳しい地域では有効な業態と思っていたのですが、先日温浴業界で仕事をしている某社長から「ハイグレード型のスーパー銭湯はうまくいっていない事例も結構多いですよ。」という話を聞きました。
その理由を想像すると、ひとつは運営の難しさが考えられます。徹底的に省力化するスーパー銭湯と比べると、レストランを強化したり、キャッシュレス精算を導入したりといった難易度が高くなるような運営スタイルをとる場合が多く、サービス業をやっていく体制ができていないまま開業すると、施設のグレードを生かすことができない可能性があります。
もうひとつは単なる業態トレンドとして「普通のスーパー銭湯の次はハイグレード型が来る」というとらえ方をしてしまい、マーケットが充分でない地域に出店してしまったケースです。
ハイグレード型スーパー銭湯は、あくまでも既存のスーパー銭湯が競合としてひしめく地域での対抗手段として有効なのであって、そのような競合環境にない場合は過剰投資となってしまう可能性が高いのです。
この10年間、ハイペースな出店を続けたスーパー銭湯業態は、もはや国民生活の中に根付いたといえるまでに普及しています。今後どのような方向に進化していくのか、そのヒントがちょっぴり先行している回転寿司業態にあるのではないかと考えています。
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