温泉ガス爆発の報道もすっかり静かに
Q1「温泉が強アルカリ性なので、塩素に代わる滅菌方法を導入したいんですが。」
A1「強アルカリ性の温泉に塩素滅菌が効きにくいことはわかりますが、法律で決められている以上、とにかく塩素は入れてください。」
Q2「温泉施設に岩盤浴を併設したいんですが、専用ウェアを着ていますので、男女混浴でもいいですよね。あと更衣室は浴場と共有でも大丈夫ですよね。」
A2「岩盤浴は浴場とみなされていますので、着衣かどうかに関わらず男女混浴は認められませんし、岩盤浴場の手前に必ず更衣室を設けてください。」
Q3「日帰りの温浴施設に、ご家族や介護が必要な方が入浴するための家族風呂を設置したいんですが。」
A3「○○県では日帰り施設において家族風呂の設置を認めていません。」
上記の文を読んで「あれっ?自分が知ってるあの施設ではOKなのに…?」と思われた人も多いのではないかと思います。
でも、上記のようなやりとりは実際に各地の温浴事業者側と行政の間で行われているのです。全国の実態をよく知らない担当者が法律を拡大解釈してしまったり、慎重になり過ぎてそのような対応になってしまうようです。
他にもヘンだなぁ、と思うことはたくさんあります。
行政の一担当者の立場としては自分の判断が原因で後で問題が起きては大変ですから、なるべく許可せず、厳しく規制する、という方向へ向かってしまうのは理解できなくはないのですが、事業者側としては現実にまったく機能しない施設対応に費用をかけなければいけなかったり、施設の魅力が削られてしまうような規制を、ハイそうですか、と受け入れることもできませんから、ここで不毛な衝突が起きてしまい、苦労させられています。
一方で、先日渋谷区松濤の温泉施設「シエスパ」で起きた爆発死傷事故では、安全対策の不備が原因とされており、法規制や行政指導のあり方にも一石が投じられました。このような事故が起きると、温泉掘削や利用に関して、いままで以上に規制を厳しくせざるを得ないことでしょう。
事故については、死傷者が出ている以上、責任の所在を追及することは当然のことと考えます。しかし、この事件はそれだけで終わらせて良いのかという疑問も感じるのです。
5年前に起きたレジオネラ菌集団感染事故のことを思い出します。あの事故が起きてから、濾過循環滅菌に関する業界の認識が変わり、法規制も厳しくなりました。確かにレジオネラ菌による事故は起きにくくなったと思います。しかし冒頭のQ&Aのような現実にそぐわない間抜けなやり取りは依然として行われているのです。
岩盤浴施設などは10年前にはまだ数箇所しかなかったのに、今は全国に1,400箇所を超える施設が存在しています。その設備も運用方法も未だ発展途上にあります。
問題が本質的に解決したわけではない、と思います。
温浴業界はまだ小さな業界であり、大型化、複合化した施設がつくられるようになってから歴史が浅く情報も不足しています。日進月歩の業界に対して、法律に限らずどうしてもいろいろな面が後追いで整備されている状況にあるのは否めません。
基礎が弱ければ、その上に大きな建物を建てることはできません。業界が健全に発展していくには、より強固な基礎が必要になる、という思いが日々強くなってきています。
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