表のハイコスト裏のローコスト
昨今の原油の高騰、仕入れの値上がりなどによって、全国的に温浴ビジネスの収益性は極めて厳しいものとなっています。
燃料コストだけでも年間数百万円から数千万円のコスト増となり、利益が消し飛んでしまったり赤字に転落したりという例が後を絶ちません。
対抗手段として価格設定の見直しやコスト削減に取り組まざるを得ない状況なのですが、ここで気をつけなければならないのは、コスト増をそのまま顧客に転化することはできない、ということです。
何ら価値が変わっていないのに値段だけが上がれば、当然のことながら買い控えが起こります。入館料を値上げすれば客数減、飲食メニュー価格を上げれば注文点数が減る、といった具合です。
さらに、過剰な節水をしたりシャンプーなどのアメニティ類や消耗品の質を下げたりといったコスト削減をすれば、顧客不満足が起こります。
温浴事業者が決して忘れてはならないのは、「今時、誰の家にも風呂はある」ということなのです。自宅よりも水圧の弱いシャワーや質の悪いシャンプーを提供している温浴施設にわざわざお金を払って行くでしょうか?
「家で風呂に入るより良い気持ち」、「豊かな気分が味わえる」ということが温浴施設の重要な存在理由なのですから、お客様が見るところ、触れるところをコスト削減の対象として良いかどうかは、慎重の上にも慎重に検討する必要があるのです。
競合の激化と不況による可処分所得の減少によって、温浴施設の客数は全国的に減少傾向にあります。その状況で業績を向上、あるいは維持していくためには、「客数をなるべく減らさずに客単価を上げる」ことが大切です。
その時に重要な考え方が「表のハイコスト裏のローコスト」なのです。
お客様が見るところ、触れるところはハイコストにして十分な顧客満足を提供し、むしろ客単価を高める方向へ向ける。一方で裏方では徹底的なコスト削減や省エネに取り組み、無駄をなくす。この切り替えが大切です。
表も裏もなしにむやみなコスト削減をしても、結局客数を減らし、客単価も落としてしまい、決して皮算用通りには行かないのです。
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