値下げを決定する前に考えて欲しいこと
深刻な不況からの出口がなかなか見えてこない中、一部企業の好業績や見通しの上方修正も伝えられています。
困るのは、マクドナルドやユニクロの好調を「この景気で調子が良いのは低価格型!
」というような単純な捉え方をして、値下げの理由にしようとするケースが増えていることです。![]()
実際、温浴施設同士で値下げ合戦に陥っている地域もあります。
いつも申し上げていることですが、値下げは大きな危険を伴う経営判断です。
マックやユニクロのように、そもそもの経営構造が徹底的に低価格商品の販売を前提に構築されている企業と、普通にやっていた企業が値下げするのとでは、話が根本的に違うのです。
普通の会社が本来の価格設定から値下げすることは、安さによる消費者の支持率アップ
以上に、利益率の低下や現場の士気の低下
というマイナス面が大きく出てしまう可能性があります。
もし今値下げを検討しているなら、もう一度以下のポイントを見直してみてください。
- 本来の価格は適正価格ではなかったのか?
競合店が価格下げしたからウチも下げる。では競合店がさらに値下げしたら、自店はどうするのでしょうか。それに追従し続けるのでしょうか。逆に競合店が値上げしたら、ウチも値上げして良いのでしょうか。
他店と同じものを仕入れて売っている商売ならともかく、温浴ビジネスはサービス業です。お客様に提供している価値は店によってそれぞれ異なりますし、それをつくり出すためにかかっているコストも異なります。
かかったコストに応じて、適正な利益を乗せた価格を設定することは当然のことです。
その価格を風向きだけで上げたり下げたりするのは、震災で食べ物に困っている人に対してソーセージ1本5,000円で売ろうとする感覚と同じことではないでしょうか。
もし現時点でマーケットに到底受け入れられないような価格設定をしているとしたら、お客様はひとりも来ないはずです。
今までの価格に納得して来てくれているお客様がたくさんいるなら、そういったお客様を徹底的に固定化し、さらに同様の客層を増やしていくことができるのではないでしょうか。
- 利用動機は安さとは限らない
安さのみを求めるお客様はより安いところへ行くでしょう。しかし、より高い満足度を求めるお客様は、例えばガイドブックを見て、内容の良さそうなところや料金が高めのところからどの店に行くかを選ぼうとします。
満足を求めて少々遠くても出かけようとしている人や、たまには気分良く過ごしたいと思っている人は、「行く甲斐があるのかどうか」で判断しています。すべての人がいつも低価格指向ではないのです。
確かに、いつも来る常連さん達は値下げしたら喜びます。
しかしそれは「何もしなくても来てくれる人に対して値下げして、わざわざ来ようとしている人達を遠ざける」→「値下げしても客数が増えずに客単価が落ちる」という結果に終わる可能性もあるということなのです。
- 集客が目的なら、イベントやキャンペーンで
「お客様が来てくれないことには始まらない」ということで値下げを断行することがありますが、集客力アップ=値下げとは限りません。
料金表をいじらなくても、イベントやキャンペーンで集客することは可能です。一時的に集客しても定着しないとすれば、それは価格の問題というよりも、繰り返し利用したいと思わせるだけの魅力がないことが問題です。値下げの前に、館内満足度アップのためにできることを実行すべきです。
それに、値下げして利益率がギリギリになってしまうと、それ以上の割引がしにくくなるため、効果的なキャンぺーンができなくなります。料金設定には、一時的な割引やプレゼントができる余地(利幅)を残しておくことも必要なのです。
- 客単価の減少を防ぐ準備があるか
当たり前のことですが、入館料の値下げは入館単価の減少を伴います。それを補うだけ客数が増えてくれればいいのですが、そううまく行くとは限りません。
「値下げしても客数があまり増えずに客単価が落ちる」事態を想定して、それをカバーできる付帯収入、つまり飲食やマッサージ、物販などの利用率や単価を伸ばす方策が伴わなければ、値下げは売上減少に直結しかねません。
- 値下げはいつでもできる
値下げそのものには、特に準備はいりません。料金表をいじるだけですから非常に簡単です。汗もかきません。その前にやっておくべきことは残っていませんか?値下げは、「万策尽きた時に、玉砕覚悟でやる最後の手段」です。
私がいつも値下げに反対する理由はもっとたくさんあって書ききれませんが、もし値下げを考えているなら、少なくともここに書いたポイントに対して、すべてご自身が納得できる答えがある、という状態になってから値下げをしていただきたいと思うのです。
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