風呂屋の現場では、高濃度な塩素の液体や錠剤を使うため、取り扱いに厳重注意が必要です。
濃度の高い塩素液が間違って衣服に付けばあっと言う間に脱色されてしまいますし、手荒れやガスを吸い込んで呼吸器に異常をきたすことなども日常茶飯事です。
お客様から苦情を言われるまでもなく、塩素が人体に害を及ぼす危険な薬品であることはイヤと言うほど分かっているのです。
浴槽では塩素は希釈された状態になっていますが、薄いからといって無害とはいえませんし、感覚的にも不快であることは論を待ちません。
考えて見ると、かつての日本では当然のように水道水をそのまま飲用していましたが、今はペットボトルのミネラルウォーターや浄水器を通した水を飲むのが普通になっています。
水にも美味しさを追求するゆとりが生まれたのか、塩素の弊害に関する情報が広まり健康志向からそうするようになったのか、いずれにしても水に対する意識は30年前とは大きな違いがあるようです。
前述のファミレスでさえ、今や浄水器はもちろんのこと、産地や生産方法、安全性をアピールした食材やメニューを取り入れたり、健康志向の高まりに対応するべく企業努力を重ねています。
そんな時代に、温泉愛好家の方々が秘湯や源泉かけ流しを称賛し塩素注入濾過循環を否定するのを、果たしてマニアックで特殊な世界と片付けて良いのでしょうか。
私は、温泉愛好家が向かう方向と同じようにこれからの消費者意識全体も、より自然志向であったり塩素の弊害を嫌う方向に向かっていくように思えてならないのです。
塩素注入は法律だから、安全衛生のためだから仕方ない…。と諦めてしまうのはまだ早いのかも知れません。
私どもでは「単純塩素泉のセンター系施設」から脱却するために、いくつかの方向性があると考えています。
1.塩素と無関係な世界で勝負する
浴槽ではなく、浴場の環境全体やサウナ・岩盤浴などのお湯を使わない設備を充実させたり、さらに飲食やマッサージといった浴場以外の分野で集客し、事業を成立させることも経営戦略としては有り得るでしょう。
2.塩素以外の方法による浴槽水の殺菌消毒
塩素(次亜塩素酸)以外にも、二酸化塩素・オゾン・紫外線・銀イオン・銅イオン等々様々な代替殺菌方法が開発されています。これまでコストや確実性などから普及が進んでいませんでしたが、時代の変化と共にこれらの方法もあらためて見直してみる時期なのかも知れません。
3.結合塩素の発生を抑える
塩素を注入しても、汚染された水に存在するアンモニア等と反応すると結合塩素となり、遊離塩素は減少してしまうのでさらに塩素を注入することになります。そして、強いカルキ臭をはじめとして塩素の弊害をもたらすのは主に結合塩素の仕業なのです。「塩素くさい」と感じる施設は、単に塩素濃度が濃いというよりも、水質が悪くて結合塩素が多く発生している施設である可能性があるのです。したがって浴槽周りをできるだけ清潔な状態に保ち、浴槽水を汚さないように努力することで結合塩素の発生が抑えられ、塩素注入量も減らすことができるのです。
4.塩素濃度に縛られない温泉の提供方法
濾過循環浴槽は遊離残留塩素濃度を0.2~0.4ppmに保つことが法律で定められていますが、源泉かけ流しであれば基本的には塩素を投入しないでも浴槽水の衛生管理ができます(保健所によっては源泉かけ流しでも塩素注入を求められるケースもありますが…)。また温泉の提供方法は浴槽とは限らず、飲泉・シャワー・スチーム・化粧品等、様々な形で天然温泉の恵みを享受する工夫が生まれています。
5.塩素の弊害を技術的に緩和・克服する
塩素の弊害を緩和・克服する方法は、科学的にまだうまく説明できない技術も含めて次々に登場しています。良い結果が出るならそれに越したことはないのですから、一概に『非科学的・トンデモ系』と拒絶せず、これらの新技術とも積極的に向き合ってみることがこれから大切だと思っています。
施設によっておかれている環境も設備もそれぞれですが、諦めずにこれらの方向性を丹念に追求していくと、現状よりも良い状態にできる余地はまだ多く残されているのではないでしょうか。
セミナーでは、上記の方向性を実現する方法についても具体的にお伝えしていく予定です。どうぞご期待ください。
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今回も最後まで読んでいただいて、有難うございました。
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