地球温暖化問題と温浴ビジネス
先日、世界気象機関(WMO)は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスに関する報告書を発表しました。それによると、2005年の世界の大気中の二酸化炭素(CO2)平均濃度は前年比0.53%上昇し、過去最高を更新したそうです。
1997年の暮れに京都で開かれた国際会議で京都議定書が採択された時、日本は2008年から2012年までの間に、1990年の二酸化炭素の排出量レベルから6%減らすことが義務付けられましたが、実際には2004年の段階で1990年比6.5%も増えてしまったとのこと。
わが国のことながら、とても恥ずかしく思います。よく日本の江戸時代が、ゼロエミッション社会を実現したモデルとして引き合いに出されます。実際、江戸時代には、資源は有効に使われ、廃棄物も徹底的に資源化され、廃棄物という概念すらなく、完全循環型社会の中で豊かな文化を育んだわけですが、そんな日本をカッコ良いと思っていました。「もったない」の精神を持つ日本人がカッコ良いと思っていました。しかし今の日本にはそんな精神性は失われてしまったのでしょうか。
先日ドイツに行った時にも、このことを感じました。交通機関や街中にはしっかり分別されたゴミ箱がいたるところに設置され、積極的にゴミを回収してリサイクルや資源化に取り組んでいることが伝わってきました。かたや日本ではなるべくゴミを捨てさせないようゴミ箱そのものを減らしている始末。ドイツ温浴施設の視察レポートにも書きましたが、開業して数十年~100年以上も経った温浴施設がまったく健全に営業を続けています。日本ではスーパー銭湯などは5年以内の投資回収を目標につくられており、ローコストにつくることが重視される結果、10年も経過するとかなり老朽化が進んでしまいます。永続性という考え方に対して「日本は遅れているなぁ…」と感じずにはいられませんでした。
温浴施設において、今のエネルギー消費レベルや二酸化炭素ガス排出レベルをもっと下げることは、技術的にはある程度可能です。しかし、多くの場合イニシャルコストが上がってしまうのです。なるべく初期投資を抑制して投資回転率を高めることはビジネスとしては重要なテーマですから、ここに大きな葛藤があります。
しかし、環境問題は深刻です。いつまでも経済性最優先では成り立たないことは明白です。ということは、近い将来省エネルギーや温暖化ガス排出抑制が大きなテーマとして温浴業界のみならず日本経済全体で大きくクローズアップされるようになるでしょう。事態が逼迫してようやく改革が進むというのが世の常のようですが、そうなった時に具体的にどのような対策をとるべきなのかは今から準備していかなければならないと思います。
現在弊社で関心を持っているテーマとして以下のようなものがあります。
- 省エネ、環境対策によるコスト増を吸収するための、さらなるローコスト化ノウハウの構築。
- 低投資短期回収ビジネスではなくて、永続性のある長期的ビジネスとしてのとらえ方。例えばまんが喫茶とホテルでは事業期間に対するとらえ方がまったく異なります。いま温浴事業は両者の中間くらいの位置づけのようですが、より長期的なビジョンが求められると考えています。
- 省エネルギーや環境対策に関する新技術。いままでの常識を覆すような新しい技術が生まれています。これらを温浴事業の中に取り入れていくための研究と実験を進める必要があります。
- LOHASをコンセプトに取り入れた温浴業態の確立。
時代は猛スピードで変化しています。かつてないほど、先見性、柔軟性が求められる時代になっているようです。
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