原理と原則
最近このことを考えさせられています。
かつて、私のコンサルティングアドバイスの中心にあったのは「一番化戦略」でした。
「日本一高い山」の例え話を持ち出すまでもなく、商圏内でナンバーワンの要素を持つことは顧客の支持を得る上で最も効率的な手法でしたし、現在でもその原則は通用するでしょう。
以前は一番化の基準を明確に把握するために、競合施設の各浴槽面積から飲食コーナーのメニュー価格まで、すべて詳細に調査することもありましたが、いま温浴ビジネスコンサルティングにおいて一番化戦略を事業戦略の中心に据えることはほとんどしなくなりました。周辺競合店の視察はしても詳細な調査はしていません。
なぜかというと、「商圏内で一番大きな風呂」「商圏内で最安値」「商圏内で最も温浴設備のバリエーションが豊富」といったやり方は、一時的に注目を集めることはできても、後発の競合施設がそれを上回ってしまえばそれまでですし、一番の取り合いは結局過剰投資や価格破壊に繋がり、マーケットに余裕がない(需要<供給)成熟期にはお互いに疲弊する結果を生んでしまうからです。
いま注目されている繁盛店にも二種類あります。ひとつは一番化戦略に基づいた圧倒的大型・多機能・低価格施設。このタイプが新規出店してくると周辺の既存店は甚大なダメージを受けます。中には閉店に追い込まれてしまうケースもあります。
もうひとつは、自社の経営資源を活かした個性的な魅力を持ち、顧客に心身の安らぎや健康をもたらすことができる本物の価値を提供している施設。このタイプはむやみに競争にさらされることなく周辺競合施設と棲み分け、むしろ地域に温浴の素晴らしさを伝え、新しいマーケットを開拓する役割を果たしています。
そう考えると、温浴マーケットが成熟化し時流が激しく変動するいま、投下資本が大きくなりがちで、軌道修正のききにくい一番化戦略はよほど条件に恵まれていない限り取るべきでないように思えます。
もしも近隣に一番化戦略タイプの新規競合店が出店してきた場合でも、対抗して一番化競争を仕掛けるのではなく、独自性と本物化に磨きをかけることが、競争にさらされず温浴マーケットを拡大することにつながり、長期的に経営を良い方向へ導く最善の道であると考えています。
今回も最後まで読んでいただいて、有難うございました。
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