今の企業体質をつくったのはトップ自身です。
以前、ある温浴施設の女性ロッカー室の化粧コーナーに、化粧水を顔に噴霧できるという機械をお試しキャンペーンで設置したことがありました。
このキャンペーンはお客様には大好評でしたが、ひとつだけ問題がありました。使い続けていると霧状に散る化粧水が床に付着して、滑りやすくなってしまうのです。
そしてある日とうとうお客様が転倒してしまい、大事には至らなかったのですが「危ない」と指摘を受けました。
そこで社内で対策を検討した時に、いろいろな意見が出ました。
・機械設置を中止すべき
・貼り紙で「床が滑りやすいので転倒注意」などの注意喚起
・こまめに巡回して、滑りやすくなっていたらすぐに床拭き
・気づいたお客様が拭けるようにモップを置く
・滑り止めにマットを敷く
などなど。
「メリットとデメリット」「費用対効果」「最悪の事態を想定」「まずはできることからやって様子を見る」など、それぞれ出てきた意見には拠って立つ理由があります。
それぞれ一長一短でもあり、どの方法が正しいとは一概に言えません。複数の対策を組み合わせる可能性も考えると、答えは無限にありそうです。
このようなことは温浴施設において日常的に起こる些細な出来事のひとつに過ぎませんが、ここでどのように対処するかが、実は大きな分かれ道なのです。
実際に効果的な対策をとることも大切ですが、もっと大切なのはこのような場面で最終的に意思決定するリーダーやトップが示す姿勢だと思います。
姿勢のひとつは、スタッフの意見を吸い上げる会話そのものです。それぞれ個性を持ったスタッフの考え方をよく理解し、それを認めてあげることは、スタッフのモチベーションアップに直結しています。
自分の提案が認められたり採用されれば、気を良くしてもっといろいろ提案したくなるのが人間というものです。
逆にもし話をろくすっぽ聞きもせずに一方的に答えを決められたりバッサリ否定されたりすれば、スタッフは「結局自分が考えてもしょうがない。」と感じます。そんな体験が繰り返されれば、主体的に考えて動こうとしない指示待ち人間の出来上がりです。
そんなスタッフばかりになれば組織は問題解決力を失い、大きな組織であれば機能不全に陥ります。そしてますますリーダーやトップに負担が集中するようになります。
もうひとつは、最終的な判断を決めたその判断基準をしっかり共有しているかどうかです。どのような答えであれ、どうしてそのような判断になったのかが理解できれば、現場スタッフは自分の考えと違っても協力する気持ちが生まれるでしょう。
様々な場面でいつも明快な判断基準が示され続ければ、だんだん会社の判断基準がスタッフにも想像できるようになってきます。突拍子もない行動をとる者は減ってくるでしょう。
このようなことの毎日の積み重ねが人材を育成し、企業体質を形成するのです。
たくさんの人が関わり日々いろいろな出来事が交錯する温浴施設において、このような対応を丁寧にやっていくことは大変なことではありますが、それをせずに人材不足を愚痴ったり、「経営者的発想を持とう」とか「主体的に行動しよう」とか、そんなスローガンを掲げてもあまり意味はないようです。
リーダーやトップの姿勢そのものが組織の成長をうながし、企業体質を作り上げていくのです。
今回も最後まで読んでいただいて、有難うございました。
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