カテゴリー「温浴業界の動向」の32件の記事

2016年、温浴業界はどうなる?

 2年前の年の瀬が押し迫った時期に「2014年、温浴業界はどうなる?」という記事を書きました。
 
1年前の年末はあまり希望的観測をかけるようなネタがなくて、筆が進みませんでした。
 
今年は久しぶりに来年の予測を書いてみようという気になっているのは、予測や結果の良し悪しに一喜一憂しているよりも、時代の変化に備えつつ、自分自身が前向きに動いていくことが大切、という気持ちになっているからなのかも知れません。
 
このブログをお読みになっているみなさまは、時代の風をどう感じていますか?
 
ヨットは追い風が吹いていれば、楽に前に進むのは当たり前ですが、たとえ向かい風でもジグザグにだったら風上に向かって進むことができます。
 
逆風を嘆いているよりも、斜めに少しづつでも前へと進む2016年にしたいと思っています。

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■2016年カレンダー
 集客に大きな影響が出る休日の並び。2016年は残念ながら大型連休が少ないです。正月も三が日と土日が重なってしまいますし、GWも飛び石、お盆休みはピークの8/13、8/14が土日と重なるため最大で3連休にしかならず、シルバーウィークに至っては大型連休と呼べないような状態です。温浴施設にとっては連休中日のピークが少ないぶん、落ち着いた運営ができるということかも知れません。
 
■自然災害
 2015年も台風や地震、河川氾濫に火山噴火など、日本列島全体が災害の不安の中で落ち着かない日々を過ごしました。災害が増える傾向は続いており、いつどこの地方に大きな災害があっても不思議ではないような状況です。
 温浴施設は災害に翻弄されるだけではなく、いざとなれば地域の防災拠点として様々な役割を果たさなければならない使命も持っています。あらゆる災害が起きる可能性を想定して、緊急事態にどう備えるのかを社内で話し合い準備しておくことが重要と思います。
 
■日本経済の行方
 政府や日銀、マスコミが言うほど、日本経済の堅調さを実感できている人は多くないのではないでしょうか。庶民のささやかなレジャーである温浴は景気の波に直接影響を受けにくいとも言われますが、それでも生活必需的な消費に比べれば影響は大きい。経済が上向いて欲しいのはやまやまですが、あまり好材料も見当たらない昨今、マーケットの自然増は期待できそうもありません。
 それよりも、2014年夏から続いた原油安が底を打って上昇に転じるとすれば、温浴施設の水光熱費はモロに影響を受けます。為替は円高への反転を予測する声が多いので、それとの見合いになりますが、これまで燃料費の値下がりで売上低迷がカバーされていた施設はひと息ついている場合ではなくなるかも知れません。
 水光熱費負担増への最大の対抗策はエネルギーコストや水道代を削減することです。削減ノウハウや技術は年々進化しており、驚くべき成果を上げる施設が出てきています。各種補助金の動向と合わせて注視し続けなければならない分野です。
 最低賃金の上昇に伴う人件費の増加、2017年4月に予定されている消費増税、各地での入湯税の見直しなど温浴事業経営を取り巻く環境は厳しさを増す一方です。従来のままの経営構造では立ち行かなくなるケースが増えてくるということは、撤退か再建か、必然的に大きく変わらざるを得ない状況に置かれるということです。
 
■温浴施設数の減少
 1970年代から減少傾向が続いた銭湯だけでなく、増加傾向にあったその他公衆浴場の施設数も減少に転じて10年が経とうとしています。この流れを変えるだけの新しい動きというのは残念ながら今はまだ顕在化していないので、2016年も全体として減少傾向は続くでしょう。

2014


■温泉の純化、サウナの進化
 2014年から言い始めたこのキーワード、それを実感させるような施設も増えてきました。この傾向は長期トレンドに裏付けされた温浴業界の時流として続くものと考えてよいでしょう。施設の改装・リニューアルを計画する際にはぜひこのキーワードを思い出してください。
 
 
決して楽観できる状況にはありませんが、困難こそ成長の糧。業界のみなさまと協力して、楽しく前に進む2016年にしたいと思っております。

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温泉の純化(5)

以前、この温泉の純化シリーズで、
「源泉はひとつひとつが異なる個性を持ってますから、湧出地の周辺環境も含めて、単純な判断基準で優劣を決めることはでませんし、同じ扱い(施設計画や設備設計)をできるはずがありません。その温泉がもっとも良い状態で最大限に魅力を発揮していることこそが大切だと思うのです。」
と書きました。今回はこれにまつわる事例をひとつ書きたいと思います。
 
開業以前からのお付き合いで、首都圏でも人気の日帰り温泉「おがわ温泉花和楽の湯」では、オープンから12年が経過しました。
 
当初から温泉の質にこだわっていた新田社長の意向で、様々な滅菌方法を検討したり保健所との相談を経て、すべてを濾過循環方式にするのではなく吐水口からは常に新しい源泉を投入する方式を採用しました。
 
稀少なpH10.1の泉質を少しでもよい状態で楽しんでいただくための工夫でした。
 
それから12年の月日が経ち、首都圏にも魅力的な日帰り温泉施設が次々とつくられ、天然温泉に対する利用者の評価基準も以前とは変わってきました。
 
木造で素朴な田舎風の情緒が魅力のおがわ温泉花和楽の湯ですが、さすがに老朽化箇所が目に付くようにもなり、リニューアルすべき時期になってきました。
 
どのようなリニューアルをすべきかという議論になり、本格的な源泉かけ流しの導入も考えましたが、おがわ温泉花和楽の湯の源泉湧出量は毎分70L=毎時4.2tですから、残念ながら大きな浴槽(×男女)を毎時1ターン以上のペースでじゃんじゃんかけ流しできるほどには湯量がありません。
 
大浴槽を諦めて小さな源泉かけ流し浴槽を持つことも考えましたが、そのような施設なら全国に多々ありますし、繁忙日には千人を超える利用客がある花和楽の湯で小さな源泉かけ流し浴槽をひとつ作ってもアンバランスです。
 
議論が煮詰まってきたときに、ふと以前仕事帰りに飲んでいるときに思いついてアイデアを温めていた「全量入れ替え方式」の話をしてみました。
 
全量入れ替え方式とは、浴槽のお湯をいったん全部捨て、新湯と完全に入れ替えてしまうことです。投入する新湯の量が同じでも源泉かけ流し方式より効率が良いため、少ない湯量でも新鮮で清潔な源泉を楽しんでいただくことができます。

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問題点は、入れ替えを行っている最中にはその浴槽を利用できないということと、そのような設備の事例がほどんどないためノウハウの蓄積がなく試行錯誤になることです。
実際、これまで何人かの人にはこの話をしてみたのですが、ピンと来ないようでした。
 
しかし、12年前にも数々の困難や暗中模索の中で花和楽の湯を開業させた新田社長、決断が早いのはさすがです。すぐに全量入れ替え方式をやろう!ということになりました。
これも、温泉の純化のひとつの形だと思います。
 
そして現在、おがわ温泉花和楽の湯は休館し、10月下旬のリニューアルオープンに向けて改装工事がはじまっています。
 
あの微硫黄臭がする高アルカリのツルツル源泉に入れるようになるのかと思うと、今から楽しみです。

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過去記事
 

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高齢化と温浴

高齢化する日本社会。
 
「これからは高齢者対応が重要になる」ということで、バリアフリー化や老眼鏡の設置、シルバー料金など、お年寄りに優しい施設とサービスを目指す。
 
これは誰もが思いつくことで、温浴業界に限らずよく聞く話です。
 
必要なことですが、それをしただけでは他に先んじることにはならないでしょう。
 
温浴ビジネスには、もっと大切な使命があると考えています。
 
高齢化社会になると、いわゆる生産年齢(15歳~65歳)が従属年齢を支え切れなくなってきます。そうなると、65歳以上を従属年齢とは言わず、いくつになっても現役で働き続けなければならない世の中になるのではないでしょうか。
 
年金もあてになりませんし、医療や介護も超高齢化社会を支えるには限界があると言われています。
 
いくつになっても現役で社会貢献を続けるためには、長寿であるだけではなく、健康で元気に生活できる状態であることが必要です。
 
そのためには、日頃からの健康管理が大切です。
 
健康管理といっても、誰もがスポーツクラブなどに通って運動習慣を継続できるとは限りませんし、健康食品やサプリメントなどの健康情報には本当に効果があるのかどうか怪しい商材があふれているのが実情です。
 
私は、「温浴習慣」こそが誰にでも顕著な効果があり、副作用がなく、シンプルで安価な、本物の健康法であると思っています。
 
そして、若さと元気を保つ健康法としての温浴が、これから重要な使命となってくると確信しています。
 
もちろん、「癒し」「リラックス」「憩い」「レジャー」といった役割がなくなるわけではありませんが、高齢化社会というトレンドをどう考え、どのように取り組んでいくのか、そろそろ行動すべき時機が来ているのではないでしょうか。

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入れ墨・タトゥー問題

 外国人旅行者の増加によって、入れ墨客の入浴問題がクローズアップされています。

自分も現場にいた時は、内心ビビりまくりながら怖そうな入れ墨客と話し合ったことが何度もありました。

逆に一見普通の人や身なりの良いお金持ち風の人がとんでもない迷惑行為をして、ついには出入禁止を言い渡したり、警察沙汰になったり…。

人は風呂屋に来ると、服と一緒に社会性も脱ぎ捨ててしまうのか?と思ったものです。

よくビジネスマナーの世界では「人は見た目で9割判断される」などと言いますが、それはビジネスという一定のルールがある社会の中でのこと。

少なくとも「入れ墨=ヤクザ=暴力&危険」という単純な図式はもう崩れています。ファッションタトゥーは普通のことだし、最近は入れ墨が入っていない人の方がよほど怖いというケースが多々あるのです。

どのような取り決めをしても、運営上のトラブルやストレスを完全に避けることはできないとしたら、業界として考えなければいけないのはマーケットを縮小しない方向、そして理不尽な差別をしない方向に向かうことなのではないでしょうか。

残念ながら迷惑行為をする人は一定割合存在します。それを外見だけで区別して排除しようとするのではなく、迷惑行為や被害の事実に対して個別に毅然と対処していくことの方が大切なのではないかと思うのです。

常識は時代に合わせて変わります。「入れ墨・タトゥー禁止」を大きく表示することが当たり前だった時代は、まもなく終わっていくのではないかと想像しています。

関連リンク(ライブドアニュース) http://news.livedoor.com/article/detail/10243508/

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賃金水準のニュースに思う

残念ながら、温浴施設の賃金水準は高くありません。そして労働条件は厳しいです。

よくある温浴施設の募集要項をあえて悪い表現で書きなおせば、

●時給は地域の最低賃金に毛が生えた程度です。

●繁忙日である土日祝日の出勤は必須。もちろん盆暮れ正月GWに休んでもらっては困ります。

●長時間営業のため、勤務は早朝から深夜までシフト制です。

●公衆マナーが分かっていないワガママな人や、時には入墨が入った人にも誠実に対応しなければならない仕事です。

●担当部門ごとに専門知識や技術が要求される仕事であると同時に、すべての仕事が接客業務であることもご理解ください。

・・・このように書くと、温浴施設の現場は誰もやりたがらない仕事のように感じます。

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実際は楽しくてやりがいのある仕事なのですが、条件面を見れば厳しいのは確かです。

せめて給与水準がもっと上がれば、と思うのですが、経営的には政府が言うほど人件費を増やすことは簡単ではありません。

消費増税で企業収益は大きなマイナス影響を受けます。

そして一般消費者の家計も、4月からの消費増税によってさらに圧迫されることになります。年間にすると、1ヶ月間分のパート代を丸ごと持って行かれるほどの支出増になるでしょう。

ここで給与水準が上がらないとすると、温浴施設で働くスタッフは更につらいことになりそうです。

だからこそ、もっと温浴業界全体で業績を上げていかなければ、と思っています。

限られたマーケットの中でパイの奪い合いをするのではなく、マーケット自体が拡大するような手を打って行かなければなりません。

そして仮に業績アップすることができたとしても、それが安易な方法であればすぐに真似されるでしょうし、温浴は簡単に儲かるからオイシイ商売、ということであれば、新規参入が増えてまた過当競争を繰り返すだけでしょう。

今、現場で苦労している温浴業界人たちが頑張って、簡単には真似できない域まで温浴の仕事を高めた時、本当の意味でのマーケット拡大、業界レベルアップが実現するものと思っています。

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2014年、温浴業界はどうなる?

 2013年もあとわずかとなりました。
 
温浴業界の2013年を振り返ってみると、比較的堅調な1年であったのではないかと思います。
 
温浴マーケットは2006年にピークを打って以来、縮小傾向が続いてはいますが、休廃業施設がある一方で新設や再生によるオープンがあり、対前年売上を伸ばす施設も少なくありませんでした。
 
2008年~2011年にかけて感じていた厳しい閉塞感から比べると、一段落した感があります。
 
統計で確認すると、
 
・公衆浴場数のピークは2007年。銭湯の減少傾向は続いているが、銭湯を除いた温浴施設の減少率は2007/2012年比で96.2%(▲3.8%)と微減。
 
・銭湯を除いた温浴施設は2010年~2012年にかけて100.2%(+40件)と増加傾向。
といったことが見てとれます。

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日本経済は円安やアベノミクスを追い風に大企業を中心に活気を取り戻しつつあると言われた1年ではありましたが、庶民のささやかなレジャーである温浴業界にとっては、まだ好景気の恩恵を享受するというところまではいかなかったのではないでしょうか。
 
2013年に気になった点としては気象が挙げられます。豪雪や豪雨、猛暑など異常気象になると、どうしても外出を控えることとなり、集客に影響してきます。異常気象の傾向は年々激しくなってきている感があり、今後も気になるところです。
 
 さて、2014年はどんな年になるのでしょうか。
 
未来の予測というのは非常に難しいことで、占いみたいになってもいけませんので、確実に分かることを中心に書いていきたいと思います。
 
■2014年カレンダー
 集客に大きな影響が出る休日の並び。これは今年3連休だったところが飛び石になっていたり、お盆休みのピークが土日と重なっていたりと、残念ながらあんまり良くないようです。
 
■消費税アップ
 景気も楽観はできません。特に消費税増税が控えていますので、庶民の生活は翻弄されそうです。可処分所得が減少すれば温浴施設には厳しい逆風となる可能性がありますし、料金改定についても難しい判断を迫られることになります。
 ただし、過去の不況時にもレジャー行動が「安近短」になることによって、「温泉旅行に行きたかったけど日帰りで」ということで、宿泊マーケットから日帰りマーケットへの流入現象が起きています。そういった消費者の期待に応えられる温浴施設でありたいものです。
 
■安全衛生管理に要注意
 もうひとつ気になるのは安全衛生管理です。国立感染症研究所によれば、2013年は過去2年間を上回るペースでレジオネラ感染症が発生しています(原因は温浴施設のみではありませんが)。
 
過去に景気が落ち込んだ2002年、2008年にはいずれもレジオネラ菌感染事故が増えるという傾向がありました。売上減少をコスト削減でカバーしようとすると、どうしても安全衛生管理がおろそかになってしまう可能性がありますので、来年は充分に気をつける必要があります。

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■サウナに注目
 これだけ全国に源泉が増え、天然温泉の看板を掲げる施設が増えている現在、温泉による差別化は容易ではありません。
 
源泉かけ流しもよほど湯量、湯温、泉質、そして排水条件に恵まれないと他店との差別化要因にはなり得ないことから、これまであまり進化してこなかったサウナに注目が集まりつつあるようです。
 
 「サウナでロウリュサービスすると固定客が増える!」とセミナーで初めて紹介したのが1999年。当時日本でロウリュを実施している施設はまだ1桁でしたが、今年「日本全国ロウリュ事典」というサイトを作って真剣にカウントしたところ120件にまで増えていました。
 
 ちなみに「岩盤浴(当時ヒーリングサウナと呼んでいました)」をはじめてセミナーで紹介したは2000年。その時点で岩盤浴施設は日本に3件しかなかったのですが、瞬く間に増えて2002年には100件を超え、2006年には1,500件に達していました。
 
ライフサイクルというのは上昇カーブが急であれば落ちるのも早い。10年以上かけてジワジワきている「ロウリュ」は、富士山のように広い裾野を持ち、高い山へと育って行くのではないかと思っています。
 
ロウリュサービスに限らず、「快適なサウナ環境をつくる」という点で日本はヨーロッパに大きく遅れをとっています。逆に言えば進化する余地がおおいにあるということで、来年以降、進化型サウナがどんどん登場してくるものと予想しています。
 
■ネット販促の重要性
 先日@nifty温泉の年間ランキングが発表されましたが、総じて言えることはランキング上位施設はネット販促が上手いということです。来館客の満足度だけでなく、ホームページやブログ、SNSを駆使して顧客開拓しリピートを促進することが繁盛のための重要な方法であり、その傾向は今後ますます強くなっていくでしょう。
 
 
 温浴施設経営は難しいビジネスですが、日本人にとって必要不可欠な存在です。少々の逆風があっても負けずに進化する2014年にしたいものです。

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遅れているのは業界スケールのせいなのか?

 いま、2件の温浴施設でリニューアルに伴い券売機からPOSシステムへの変更を進めています。
比較的小さな温浴施設なので、POSシステムといっても今回は温浴用のPOSではなく、飲食店用のPOSを応用しようとしています。
これまで温浴POSシステムの導入というと、すぐに数百万円~1千万円クラスの話になっていましたが、最近の先進的な飲食POSはクラウド化されてきており、店舗側はサーバーを所有しません。
1千万円クラスのシステムをリースにすれば、毎月支払うリース料は20万円に近くなります。飲食POSのクラウドサービス利用料だと月額わずか1万円台ですので、その差10倍以上。
そしてフロントに置くパソコンやオーダーの入力に使うハンディターミナルも1台10万円以上しますが、市販のiPadやiPodなどのApple製品を組み合わせて利用することで1台2~5万円に抑えることができるようになっています。
Ipadこのコスト差はあまりにも大きな違いです。
もちろん飲食店と温浴施設ではPOSシステムに求められる機能が大きく異なりますので、そのまま流用して何も問題なし、というわけにはいきません。
カスタマイズしたり、温浴POSであれば普通に搭載されている機能も一部我慢することになります。
複雑なオペレーションを行っている大型温浴施設では、やはり温浴施設用につくられた専門のPOSシステムを使った方が良さそうですが、シンプルに運営している小規模施設なら飲食POSで代用できると考えています。
温浴POSと飲食POSを比べて見ると、もちろん施設の規模や使用環境が違うのですから、求められる性能が違うのですが、単純にそのコストパフォーマンスの差には業界としてのスケールの違いを感じずにはいられません。
今回使用する予定の飲食POSクラウドサービスは、導入実績が既に2500店舗以上。それだけ利用されているからこそ、機能も価格もこなれているのです。
温浴業界でPOSシステムを利用している、あるいは利用しようと考えている施設はまだ全国に1000施設あるかどうか…。各開発元に割り振れば、その数はもっと小さくなります。
その小さな業界専門のPOSシステムを開発したところで、それほど大きなビジネスにはならないのですから、仕方ないと言ってしまえばそれまでなのですが、消費者はそれでは納得してはくれません。
仮に同じお金を出して同じようなものを食べるなら、より迅速できめ細かいサービスができる店を支持するのは当たり前のこと。レストランが券売機にセルフサービスでは、はじめから飲食でおもてなしする気がないと言っているようなものです。
少々メニューを工夫したり価格を抑えたりしても温浴施設の飲食部門がなかなか評価されにくいのは、このように商売の基盤となる部分で負けていることが一因なのです。
 こういった話はPOSシステムに限ったことではありません。
温浴業界がもっと発展するためには、温浴施設側の経営努力だけでなく、コンサルタントや設計、メーカーetc.業界を支える側がもっと頑張らないと、業界のスケールが小さいから遅れている…という状況から脱却することはできないと思っています。
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誰が温浴業界を進化させるのか?

 2011年より、株式会社アクトパスの社長業もコンサルタント業もほぼ休止して、温浴施設の事業再生の現場にどっぷりとハマっておりました。

リニュールオープン後数ヶ月は現場に泊まり込んで自宅にも帰れない日々が続き、まもなく2年が経過しようとしている今も、様々な経営課題の解決に取り組みながら、時には現場のオペレーションにも加わっています。

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私が温浴業界に関わるようになって15年以上が経過しますが、コンサルタントではなく、実際に現場運営責任者の立場に立ってみて痛感したことがあります。

それは、今の温浴施設の運営現場がいかに多忙を極め、余裕がないかということです。

温浴施設の運営現場は、特殊なハードの維持管理だけではなく、様々な企画やイベントで集客に力を注ぎ、接客サービスでは飲食業や宿泊業に追いつけと努力し、そして公衆浴場業、飲食業、小売業、リラクゼーション業など複数の業種を兼業し、きめ細かいマネジメントやコスト管理も必要とされる時代です。

どんなにスーパーマンのような能力を持った支配人であっても、ひとりで館内すべての業務に精通し実行することは困難なレベルまで来てしまったのかも知れません。

 経済の低迷や過当競争で資金的余力を失い、運営業務内容は複雑で高度なものになって忙しくなる一方。良い人材はなかなか集まらない。そんな苦境に陥っている温浴施設が全国にたくさんあるように感じています。

前回記事にも書きましたが、業態進化どころではありません。日々施設を回していくのに精いっぱいなのです。

答えは現場にあり」と言いますが、温浴施設の現場が進化するための取り組みに資金や時間、人手をかけることができないでいるとしたら、これからどうやって温浴業界は進化していくのでしょうか?

それは、温浴ビジネスに関連する周辺業種、つまりメーカーや設計、コンサルタント、運営受託etc.の関連事業者の役割に期待するところが大だと思っています。

現場にいる時、施設を訪問してくる関連事業者の皆さんに対して私自身が切実に感じていたのは、
・理屈や情報はもういいから、実際に仕事を手伝って欲しい。
・現場で解決困難なことを代わりにやって欲しい。
・あるいは現場が手間暇をかけなくてもすぐ使えるレベルまで完成度を高めて欲しい。

といったことでした。

逆に言うと、どの会社もそれぞれの専門性にあぐらをかいて現場レベルまで歩み寄ってくれなかったり、過去の成長期の遺産にしがみついて保守的な考え方しかできなかったりといったところが多く、実際の問題解決には役に立たないことが多かったのです。

これでは業界進化どころか、温浴業界もその周辺も一緒にますます沈んでいく一方なのではないか…という危機感を持たざるを得ないというのが正直な気持ちです。

微力ながら、私ども株式会社アクトパスも過去のビジネスモデルにとらわれずに、新しいチャレンジをしていかなければならないと考えています。

胎内浴」をプロデュースしてプログラムCDを制作したり、ニフティ㈱さんと組んでネット販促支援ツール「ニフパス」を開発したり、蒸気発生器「熱岩石」を製造したり…近頃の何屋だか分からないちょっとヘンな動きはその流れです。

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温浴業界の進化は止まったのか?

 我が国では、古来から庶民の日常的な生活習慣として風呂文化が根付いています。古くは石風呂や釜風呂に始まり、寺社の施湯、湯屋、銭湯というように、生活習慣であると同時に公衆浴場業というビジネスとしても発展してきました。

ただし温浴設備に飲食や休憩機能、リラクゼーション等の各種サービスを組み合わせた大型温浴施設となると歴史は比較的浅く、本格的な大型温浴施設が登場したのは1955年創業の船橋ヘルスセンターが草分けとされており、まだ半世紀ほどしか経過していません。

現在老舗と言われる著名な温浴施設(ニュージャパンサウナ、箱根天山、スパリゾートハワイアンズ…)の多くがこの時期に創業しています。

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この半世紀で見ると、公衆浴場(銭湯)の減少とその他公衆浴場(温浴施設)の増加が一貫したトレンドでした。これは、我が国の経済成長による自家風呂の普及と、それに伴う身体を洗う場としての銭湯の減少、さらにその反動としてレジャーやリラクゼーションの場としての温浴施設の台頭、というように理解できます。

温浴施設業界は、前述のヘルスセンターにはじまり、健康ランド、スーパー銭湯、そして日帰り温泉と、その時々に時代をリードする業態を交代しながらも、ほぼ右肩上がりの成長を続け、2004年には公衆浴場(銭湯)とその他公衆浴場(温浴施設)を合計して、25,731施設に達しました。

しかし、その2004年ごろがピークとなり、以降我が国の公衆浴場数は減少傾向に転じています。

これは経済成長の鈍化だけでなく、全国的な温浴施設の普及が一巡し(競争激化)、消費者の嗜好が変化するなどの複合要因によるもので、新規出店ペースが鈍ると同時に廃業件数の増加傾向もみられます。

特に2006年秋には、建築基準法の改正によって新規開業案件の進行がストップしただけでなく、道路交通法の規制強化(飲酒運転)による郊外型温浴施設の利用控えと飲食客単価のダウン、岩盤浴バッシング報道による利用者減など、既存施設にとっても厳しい出来事が相次ぎ、売上前年割れを起こす施設が続出しました。

2006年は私ども株式会社アクトパスの創業年でもありますが、業界が成長期から成熟期へと転換した分岐点と言われています。

 ここで、1950年代以降、それまでの銭湯の時代から大型温浴施設が登場し、現在に至るまでの流れを少し考えてみたいと思います。

 かつては、極端な言い方をすれば「温浴施設をつくれば、放っておいてもお客様は集まる。後は受付と掃除をしていれば良い。」というような時代であったと言えそうです。

そんなに難しいことをしなくても、「銭湯よりも圧倒的に充実した設備」や「健康ランド並みの設備を日常的な価格で気軽に」という存在意義だけで充分に事業が成立したのです。

温浴新業態の変遷は、流通業界に当てはめて考えれば「商店街の店を業種毎に一軒一軒買い物して歩かなくても、生鮮食料品から日用雑貨までがワンストップで揃うスーパーマーケットの登場」「エブリデイロープライス」、あるいは「日常生活に必要なものが24時間、近所の一店舗でほとんど揃うコンビニエンスストアの登場」と同じような現象であったのかも知れません。

業態の進化とは、その時代の消費者にとっての価値(利便性や価格)に対する圧倒的な革命ということであり、大雑把にまとめてしまえば、1950年代以降の温浴施設の近代史は業態進化の歴史であったと言えそうです。

かつての銭湯から、ヘルスセンターや健康ランドといった大型温浴施設が登場した背景には、お風呂を大衆レジャーの場と位置づけ、飲食やエンターテイメントを組み合わせるという発想の転換がありました。

初期のスーパー銭湯は、ジェットなどの浴槽設備バリエーションを充実させたことによって確立しました。

後期のスーパー銭湯や日帰り温泉を業態として確立したのは、温泉旅行並みの満足感を提供する空間を日帰り施設の中に創り出した設計の力だと思います。

しかし、2000年代に入って岩盤浴や炭酸泉などのアイテムの流行り廃りはあっても、温浴業界そのものが一段階ステップアップするような進化はまだ起きていないように思います。

2013年3月、竜泉寺の湯横浜鶴ヶ峰店がオープンし繁盛店として話題になっています。潤沢なマーケットにフルアイテムの温浴設備を導入し、低価格設定で大量集客を実現するそのマーケティング戦略は、かつて流通業界で量販店が頭打ちになった時に次々登場した業態分化を再現しているかのようにも見えました。
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 ところで、どうして突然温浴ビジネスの歴史について考え始めたのかというと、実は最近あるクライアントから、「これから10年間のことを予測する」という難しいお仕事をいただいたことがキッカケです。

過去のトレンドから未来予測を行うのは常套手段ですが、もはや現在の延長線上に未来の予測図を描くことはできないように感じています。

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  株式会社アクトパス 代表取締役 望月 義尚
  〒104-0061東京都中央区銀座3-11-5 第2中山ビル7階
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引き続き第二弾やります!今度は「あたため隊」

ドラム缶風呂プロジェクト【東日本大震災 被災地入浴支援計画】の際は、たくさんの応援・ご協力をいただきまして、本当にありがとうございました。

その後もお問合せが各方面から寄せられており、またドラム缶をトラックで運ぶことになるかも知れません。

それはそれで良いのですが、やはりお風呂となると被災地の要望の優先順位、給排水、燃料、プライバシーの確保などいろいろな困難があり、ドラム缶風呂がピタリとはまるところはそう多くない…ということも分かりました。

大変な避難生活を送っている方々に対して、もっと何かできることがあるのではないだろうか?という思いを募らせていたところ、日頃から情報交換させていただいている温浴業界の仲間である株式会社リバース東京の渡邉社長や株式会社メトスの神山社長、株式会社 SeaAromaの藤原社長たちも同じ思いを持っていることが分かり、各社が力を合わせればもっとできることがあるだろう!と気づきました。

そして生まれた計画が「あたためたい」です。

ドラム缶風呂のように、いくつもの条件をクリアしないと実現できないものではなく、ほとんどの被災地に対応可能と思っています。

簡単に言うと、現地で温泉を沸かして足湯とアロマ、そしてセラピストによるボディケアやリフレクソロジーの施術をご提供するチームの派遣です。

温泉は、温泉施設の皆様に本物の天然温泉を提供していただきたいと思っています。

とにかく、まずは動き出してみます!

ある程度やってみて、具体的な感触がつかめたら、またご協力お願いの呼びかけをするかも知れません。もはや私だけが頑張ってどうにかなるような話のスケールではなくなってきましたので、皆様のご支援・ご協力が必要になると思います。

また、続きをご報告します。

「あたためたい」の計画(素案)はこちら>>>「atatametai.pdf」をダウンロード

お問合せ、ご協力のご相談はこちら>>> info2@aqutpas.com

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